今月より、新たにインターン生が参加してきました。弊社のコアにある「業務効率化」の考え方は、どのポジションに入ったとしても最初のオンボーディングで学びます。考え方の理解が進むと、普段の業務の取り組み方やスピードに表れます。
グループディスカッションは、まず個人でポストイットを書く-ブレストや単純なグループディスカッションは時間の無駄
こんにちは、プロセスコンサルタントのYoshiyaです。
私は、プロセス改善の改善手法としては個別のインタビューも時に使いますが、作業効率・スピード・共通認識を早期に掴み方向感を間違わないため課題・問題抽出は関係者によるワークショップを最初に行います。
問題抽出のワークショップでは、部・課レベルなら大体1.5時間、本部レベルでも2時間もあれば優先度の高い課題・問題は抽出することができます。
ワークショップでは、最初に個人の意見を必ずポストイットで書き出す
改善活動のスタートが個人のポストイットから始まるのは個人の課題感や問題意識をその場で見える化すると同時に質問でその内容を確認するためです。
このカードを出した後同じカテゴリーの課題や問題をサマリーします。
この時点でいくつかの問題または課題グループができるのですが、だいたい何年も解決・実行できていないものがほとんどです。
ここで参加者に優先度(解決すべき順番)を付けてもらうために”正”の字でスコアを付けてもらいます。課題グループが10個あった場合その3分の1程度のスコアを設定し、参加者にスコアを付けてもらいます。
ここで良くあるのが、部長とスタッフたちとの認識の差です。スタッフが変えてほしい場所は部長・課長とは全く違う場所等
*この場合、先にスコアを入れるのはスタッフからです。部長からスコアを入れるとその場所にスコアを入れる同調圧力になる場合があります。
どこを変えるべきかというのはビジネス的には部長が言っていることが正しい”かも”しれませんが、スタッフは変えてほしい場所を提示しています。
もしその変えてほしい場所が、ビジネス的にも有効であればスタッフの改善ポイントを採用すべきです。もしその障害が取り払われればスタッフのストレスも軽減されるでしょう。*スタッフが変えてほしいことは他にも課題がある場合があり意外と重い課題だったりもします。
私のワークショップでは、ポストイットで個人の意見を集めてスクリーニングやスコアリングを行い意思決定を促します。
クライアントによっては”投票では無くて”ということでグループディスカッションやブレストで解決課題を決定したいという場合もありますが、ブレスト等では決めない理由があります。
それは、ブレストではまず個人の意見がテーブルに上がらない、または発言の前にアイデアが消失してしまうからです。さらに、上司の顔を伺い無難なアイデアしか出してこなかったりとクリエイティブな場ではなく緩い同調圧力により議論が閉鎖的になります。
私は、ワークショップだけでなく、現場の課題抽出や意思決定にグループで作業することがある場合は、一旦個人でポストイットを書く習慣付けが必要と考えています。
以下の引用blogにもありますが、経験の強い人の意見は若い人達には非常に恐怖に感じます。
間口の広い情報収集と言う意味でもまずは聞くではなく、書いてもらうということを推奨します。
グループでのディスカッションやブレストはルールを全員が理解して機能する情報共有です。
まずは個人で意見を出す仕組みとしてポストイットのようなもので各個人の意見を広く受け取る必要がありあす。その後、意見をサマリーしグループディスカッションに移行します。
ブレストは無意味 最初は個人でアイデアを出すべき理由
https://daigoblog.jp/correct-brainstorming/
ブレストや単純なチームディスカッションでアイデアを出せなくなるのは他者評価に対する不安があるからです。*その前にチームディスカッションでアイデアが出ているという錯覚を既にしていることが多い。また同じ思考パターンで処理していることを自らが理解していない。
ブレストでは自分のアイデアが他の人にどう思われるかという不安があるためとプロダクションブロッキングの二つが大きな原因により多くのアイデアが個人レベルで既に消えてしまうようです
私のワークショップではポストイットの枚数を指定し”さらに”アイデアを絞り出すことを行います。
Brainstorming Does Not Work
Brainstorming ≒ Team verbal discussion(チームの口頭だけのディスカッションはブレストと同じ)
ブレストをするにはそれなりのルールと環境が必要
https://medium.com/galleys/brainstorming-does-not-work-6ad7b1448dcf
In every case, four people working individually generated between 30 to 40 percent more ideas than four people working in a group.
グループワークに比べ、個別ワークを含むアイデア想像は30-40%アイデアが多い
グループ思考の危険性
https://www.ideou.com/pages/brainstorming
Groupthink — The urge to conform to the group, even unconsciously, overrides creative thinking and sharing of new ideas.
グループ思考—グループに順応する感情は、無意識であっても、創造的な思考や新しいアイデアの共有を無効にする
グループで話す前の作業が必要です。
「ブレスト」のアイデア出しは、実は効率が悪い!
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00059/073100136/
やっぱりか!ブレインストーミングは時間の無駄という研究結果が話題に
https://tabata-semi.jp/the-purpose-of-brainstorming/
ブレストは「やった感」以外に意味がない理由
IDEO客員研究員ジェイク・ナップがスプリントを語る
https://diamond.jp/articles/-/131630
今回は、課題抽出ワークショップや個人の意見を最初に集めるためにポストイットで書いてもらう部分について書きましたが、これは業務改善だけでなく新商品開発や営業課題の確認等何にでも使えます。
一度ポストイットによるワークショップを業務に入れてみてはいかがでしょうか?
アイデアソンについて
最近アイデアソンの運営サポートをする機会があります。アイデアソンは何でもかんでもアイデアを出せるから簡単に聞こえますが、難しい点もあります。何が難しいかというと、カテゴライズです。(参加者ではなく、カテゴライズを第三者が行う場合です。)
今回は、アイデアソンでカテゴライズをする際に難しいなと感じる状況を3つ挙げます。
①アイデアの大きさがバラバラ
一文字のアイデアから、ストーリーのように細かいアイデアまでいろいろな粒度があります。
②複数のカテゴリーに属するアイデアが出てくる
あるアイデアが複数のカテゴリーに属すると、どれに分けるべきなのか迷います。さらに複数に属するものが多くなればなるほど、カテゴリーに違いがなくなります。
③アイデアを書いた本人の意思を拾えない
アイデアを何百もアウトプットするため、ひとつひとつの想いを聞く時間はありません。すると本人がどんな想いでそのアイデアを書いたのかを無視することになります。
アイデアをアウトプットするときに避けて通れないのは、傾聴力や言語化する力です。その力がチーム内でバラバラであることもあります。特にアイデアソン内では、否定は好ましくない+時間制限内で集中しているため、その都度アドバイスをするようなことはあまりできません。特にアイデアソンに参加すること自体が初めてという方には、自由な発想をして欲しいのであまり制限を設けたくないところです。
これらをどのように改善するかをこれから考えていきたいと思います。
ブレストをポストイットで行う習慣は汎用的につかえる
ブレストをポストイットで行うという話が冒頭に出ましたが、このブレスト、みんなでアイデア出しをポストイットでわーっと出していくという行為は、意外と汎用的に使えるものです。
たとえば、WBSを作るのにも使えるのです。WBSとは、(Work Breakdown Structure)のことで、個別のタスクを最小限に分割したものです。WBSは問題の見える化、共有、意識の言語化をともないますので、やるべきことや課題感が全体的にみえてシェアできるので非常に重要なタームとなります。
やるべきことをまとめて何になるのかというと、プロジェクト管理です。何かシステムを構築する際や、全体に何かを導入する際につかえるのです。問題点・課題・普段のタスク・やるべきこと・やりたいこと・誰かがやるべき仕事・・・をブレストで出し尽くしていきます。
ブレストの大事な点は、絶対に否定しないこと
ブレストで大事なことは、他者評価を考慮しないことです。
つまり、誰かのアイデアを「それはさ・・・」とか「いや・・・」といったネガティブな言葉でさえぎるのは絶対にNGということになります。そもそも、ビジネスシーンにおいて否定から入ったりネガティブな発言を相手にぶつけたりするのは御法度です。
絶対に否定しない、これは意外と、人によっては難しいのです。否定がくせになっている社員は、老若男女問わずいますので、そうした人も参加してもらいつつ、場をポジティブな空間にしてブレストを盛り上げていく必要があります。
ただし、その否定しないというルールさえ守れば、なんでもアイデアがポンポン飛び出します。誰かひとりが出せば、我も我もとみんなアイデアだしし始めますので、手本を見せるのも大事ですね。
ブレストの時間制限について
ブレストのアイデア出しが、ばーっとみんなで無方向に行う一方で、ブレストに時間制限を持たせるかどうかは、慎重に判断すべきです。なぜなら、時間に追われるとアイデアが出る一方で、時間制限があるがゆえに、アイデアが小さくなる、創造性が減るということも考えられるからです。
ただ、仕事は時間との闘いであり、成果もまた時間によって左右される部分がありますから、ブレストを15分で行う、というのは設定してみてもいいことですね。チームで集まって、ルールを説明し、ポストイットとペンを渡して、さあ、やってみよう!ということで、アイデアだししてみるの楽しみですね!
デジタルポストイットでやってみては?
アイデア出しは、基本的に紙のポストイットに書いて行います。10センチ✕10センチぐらいの、大きめのポストイットを使用します。とはいっても、紙のポストイットはエコじゃない部分がありますよね。紙の無駄ではないのですが、資源は消費することとなってしまいます。
そこで、Miroというツールがあります。
これはデジタルにポストイットを書けるツールなんですが、やってみるのはおすすめですよ。紙の方が「書いている実感」を得ることはできますが、“SDGs(持続可能)なブレスト“もいいものです。
それに、コピーをしたり、シャッフルしたり、いったん仮に削除したりなど、さまざまな機能が豊富なので、お使いになってみてはいかがでしょうか。弊社でも導入サポートを行っています。
なにより、リモートでブレストできるのが最大の特徴です。
いま、リモートワークがいよいよ本格的に組織の中に組み込まれて、意外と役に立つと言いますか働きやすいので、今後もリモートでいこう、みたいな流れになっていることだろうと思います。それなら、リモートワークでブレストも行えるはず・・・という着想で、Miroの導入がおすすめでですよ。
リモートでありながら、まるで目の前でみんなでわいわいいいながらブレストしている感覚になれます。自由に意見を出し合うのに、ツールで手助けできたら最高ですね。
まとめ
ブレストのアイデアだしと、ポストイットの話をお届けしました。
せっかくなので、ブレストしてみましょう。
みんなで働いているわけですから、それぞれの知恵を出し合って、集合知を作り上げるのがおすすめです。まず全体のアイデアを出してから、本格的に分割したり整理したりして、物事を進めていくのが理想的な形です。
上流工程とは、本当にふんわりしたアイデアから出てくるものなのだと言うことが実感できますね。これが下流になればなるほど、やるべきことが決まり切ってきます。ただし、人間的に上流と下流があるわけではなく、みんなフラットですのでそのあたりは忘れないようにしたいものです。
プロセス改善等の御相談は弊社サイトのお問合せからお願いいたします。