ブログに戻る

キャパシティ管理とは何か、なぜ重要なのか

※本ブログはTempo「What is capacity management, and why is it important?」を翻訳したものです。内容に相違がある場合は、原文を優先とします。


キャパシティ管理とは、プロジェクト管理やリソース割当てを行う際のテクニックのひとつです。キャパシティ・マネジメントを巧みに活用することで、組織はチームメンバー(およびフリーランサー)の即戦力と、戦略目標達成に必要な専門スキルが合致する機会を劇的に増やすことを可能にします。

またキャパシティ管理を活用することで、プロジェクトマネージャーをはじめとする全ての担当者は、通常であれば直感や推測で判断される内容、より科学的に解決することができます。適切なキャパシティ管理を行うことで組織は、今後のプロジェクトや顧客、利害関係者のニーズに適切に対応することができる準備をしっかりでき、且つ人材の過剰配置やオーバーブッキング等のリスクを回避することができます。

目次

  1. キャパシティ管理とは?

  2. キャパシティ管理のための戦略とは?

  3. なぜ、キャパシティ管理が重要なのか?

  4. キャパシティ管理のベストプラクティスとは?

  5. キャパシティ計画とは、従業員と組織の戦略的ビジョンを尊重しながら、現実的な決断を下すことである

 

 

キャパシティ管理とは?

プロジェクト管理の世界でのキャパシティ管理とは、プロジェクトのニーズを予測し、利用可能な人材を戦略的に割り当てるためのプロセスのひとつです。また、主要目的として予算内で需要と供給をマッチさせることがあげられます。そして、才能を伸ばしすぎず、必要以上に過剰な投資をしないことを二次的な目標としています。

より一般的な意味でいうのであれば、キャパシティ管理とはリソースの需要を予測し、戦略的にリソース配分を行うためのプロセスのひとつです。またその第一の目標は、制約のある予算の中で、供給と需要を一致させることであり、第二の目標は不要リソース分配における過剰支出の回避です。

需要と供給を完全に一致させようとする組織がある中、現実的に見てみるとこの戦略にはメリットのほかデメリットも存在します。(下記でさらに詳しく説明をします。)キャパシティ管理プロセスに関わる人材は、自分たちの目標や予算の制約をきちんと理解する必要があります。また、プロジェクトの担当人数(または、利用可能なリソースの供給)が需要に追いついていない場合や、現在の需要レベルに対して配分されている担当者の人数が多すぎる(リソースの過剰供給)場合は、非常用対策案を立てる必要があります。

 

簡単に言えば、キャパシティ管理のプロセスには以下が含まれます。

  • 現在のキャパシティ算出のための現状のリソース測定

  • 調達可能なリソースの把握、またキャパシティへの影響力の把握

  • キャパシティを最大活用するための既知及び今後の需要の予測

  • 必要キャパシティレベル達成のための戦略的リソース配分(利用可能な戦略は多数あるものの、正確にニーズと合致するものは少数です)

  • 最終的なキャパシティ使用状況のモニタリング及び、実際の生産能力・需要予測のギャップの記録

  • 現在の生産能力・需要の測定、ベンチマークの再調整とプロセスのリトライ

 

異なった種類のキャパシティ管理について

「キャパシティ」という言葉は、実際には多くのことを指しています。

開発・人材育成の世界での「キャパシティ」は人材を指すことが多いとされています。具体的には、生産的な業務を行うことのできる人材を指します。そのため、十分な「キャパシティ」を持つということは必要なタスクやプロジェクトに取り組むための十分な人員を確保するという意味になるのです。確保することで、掲げた目標や要求の達成も可能になります。

ただし、「キャパシティ」が意味するものは他にもあります。IT運用やサービス管理の世界でのキャパシティとは、特定のアプリやサービスのオンライントラフィック処理のためのサーバー容量を指します。また、消費者のニーズを満たすために必要な商品を生産する機械を指す場合もあるのです。

以下は、グローバルな業界で最も一般的に活用されているとされるキャパシティ管理の一部です。

 

労働力におけるキャパシティ管理

労働力におけるキャパシティ管理とは、特に業務遂行のために熟練した人材を確保することに関係しています。飲食業などのサービス業でのキャパシティとは、期待されるレベルのサービス品質を十分に発揮するための十分な人数を確保する能力を指す場合もあります。

ただし、専門的なプロジェクト管理の世界でのキャパシティとは、プロジェクト納期を守るための一連のプロセスを完了させる能力を指します。プロジェクトマネージャー(PM)は、プロジェクト完了までに実行される全タスクに必要な時間の集計を行い、キャパシティ需要を例えば400時間というように見積もります。次に、PMは現在の労働力キャパシティを計算し、供給量を決定します。必要な作業を実行できる人材の人数と、各人の稼働可能時間数を掛け合わせることで、正確にキャパシティを判断することができます。

仮に400時間のプロジェクトを想定した場合だと、週40時間の作業を10人のコーディングエンジニアが行うことで1週間以内にロジェクトを完了させることができます。尚この計算は、作業者が1つのプロジェクトに100%の労力を注ぐということを前提条件としています。(この点は現実味にかけるかと思われますが、後に詳しく説明をします。)また、PMは作業時間が予測以上にかかる場合を想定した上で各作業者の1日当たりの稼働可能率を見積もることもできます。

このようにキャパシティ管理を活用し、データに基づいた意思決定を行う場合は、おさえるべきポイントが数点あります。

 

生産力におけるキャパシティ管理

生産力におけるキャパシティ管理は多くの場合、組織が特定の価値生産を行う能力のことを指します。尚、価値生産能力は機械の生産量及び、稼働可能時間によって決まります。

例えば、ある企業は次の四半期に400万個のウィジェットに対する消費者のニーズがあると予測しています。1台の機械が毎時400個のウィジェットの生産が可能な場合、必要な生産キャパシティを確保するためには、10,000時間/1台が必要になります。あるいは、100時間/100台が必要となるかと思います。

このように生産管理者は、必要な生産キャパシティを決定し、適切な戦略的決定を行うことが必要なのです。

 

リソースにおけるキャパシティ管理

リソースにおけるキャパシティ管理の「リソース」とは、組織が需要レベルを満たすために必要となるリソースの合計を指します。

多くの場合のリソースは1種類以上の複数を指します。例えば、上記に挙げたプロジェクト管理の例でのリソースは、プロジェクトタスクを完了させるための必要人員数だけではなく、作業デスク、ソフトウェア、ラップトップやJira等のツールのサブスクリプションを含む場合があるのです。また、従業員が本格的にプロジェクトのタスクに従事する前のトレーニングやオリエンテーション、企画会議などの要件が必要になる場合もあります。

また生産力におけるキャパシティ管理での例でいうと、必要な機械は単独作動が不可能です。例えば、機械1台につき作業員10名と、機械50台に対して3人の機械エンジニアが必要なる場合があります。機械には、製造のための原材料の調達も必要です。さらには、グリスやボールベアリング、ラベル等の消耗品も必要になる可能性もあります。つまり企業は、機械そのものの所有だけではなく、機械を稼働させるための全てのリソースが必要になるのです。

またリソースとは、特定のサービスを提供したりユーザー全体に対して特定のアプリをサポートするための利用可能なリソースを指す場合もよくあります。アプリ運営組織は、需要を予測し、アプリ実行のために必要なサーバーや、スペース、その他のリソースを確保する必要があります。

すべてのビジネス活動にはコストがかかることから「リソース」には予算の意味を含む場合もあります。尚組織は、利用可能な予算を決定するために内部留保や借入能力をしっかり把握した後、特定のリソースを配分していくことが多いです。

一言で言えば組織はが見ている「リソース」とは、その業界固有であったり、組織内の特定の部門固有のものである場合が多く、例えば人事部にとって最も重要なリソースは、IT部門のリソースとは異なり、逆もまた同様となります。また、大規模プロジェクトでは、そのリソースのキャパシティ管理を適切に行うため頻繫に部門横断的なチームが必要となることもあります。

 

 

キャパシティ管理のための戦略とは?

キャパシティ管理戦略には複数あり、企業や特定のリスクごと等に応じてどの方法を使用するかを選択することができます。

キャパシティ管理の中で最も一般的な戦略とされているのは次の通りです。

  • 時間差戦略

  • リード戦略

  • マッチング戦略

  • 最適化戦略

尚、各戦略のメリットやデメリットを含む内容については下記を参照してください。

 

時間差戦略

時間差キャパシティ管理戦略は、ニーズが明らかになった時点で何かしらの対応を行います。

例えば、ソフトウェア製品をリリースする会社の場合、現在の予算ニーズに基づき稼働可能な作業担当エンジニアや、従業員の配置を行います。また特定のニーズに対応する必要がある場合のみ、稼働可能な従業員数を増員します。これは新製品の姉妹製品のリリースを行う際、新ソフトウェアエンジニアチームが必要になる可能性がある場合に必要な対応です。更に製品需要が急増した場合は、サポート対応など課題対処のための人員補充するリスクが生じる場合もあります。

この戦略は、リソースの過剰配分を回避するという点でも非常に慎重的な手段のひとつと言えます。更にこのアプローチは、組織が不要なリソースにコストを投資するリスクをも軽減します。

ただし、リソースの過剰活用及び労働力キャパシティ(またはその他必要なリソース)に対して需要が供給を上回ってしまった場合、生じる結果と相互性のバランスをとる必要があります。例えば、一晩で人気が急上昇したアプリには、突然障害の発生や、ユーザートラブルの増加のリスクが生じます。そのため、市場シェアを拡大し、より多くの収益化を得る機会への妨げや、評価に傷がつくリスクが生じてしまいます。更には、企業がリソースの拡大として、従業員を増員準備を行う段階での負担が重くかかりすぎる場合、従業員は燃え尽き症候群に陥る可能性が出てきてしまいます。

以上のことからこの戦略を活用する場合、新リソースとして人材採用やトレーニングを行う場合に生じる「時間差・遅れ」の度合いを考慮し、不足または過剰にリソースを配分してしまうリスクをバランスよく対処する必要があると言えます。

 

リード戦略

リード戦略とは、リソースのニーズを前もって予測し、活用の必要が出る前に積極的に対応を行います。例えば、ある企業がユーザーベースを拡大し、アプリのインストール数を増やしたいと考えている場合、必要性を見越して事前に従業員の増員とトレーニングを行う必要性が生じます。

必要なリソースを把握するためには、予測・市場調査・顧客調査・仮説立て等、複雑なプロセスを必要とする場合があります。そのため企業は、人材不足(または利用可能なリソースが少ない)から生じる可能性のある結果を回避しようとしていますが、誤ったリソースの配分や、コスト・労働力を費やしてしまう場合もあります。結果、市場混乱や競合他社の成長度、成長戦略に対する顧客対応の未熟度等の要因を予測できないことも生じてしまいます。

以上のことから、この戦略を活用する企業は獲得したリソースが不要な場合の対応策の準備が必要になると言えます。この場合多くは、解雇や予測需要の調整という形が対応策として検討されます。また、リソースの過剰予測を回避し、獲得できたであろうイノベーションプロジェクト等のビジネス機会の損失を避ける必要もあります。

 

マッチング戦略

マッチング戦略とは、在及び、近い将来の需要を正確に反映するために利用可能なリソース量を常に調整することを指します。尚このタイプの戦略は、前述のような需要と供給をマッチングさせる「市場均衡」型のアプローチのひとつになります。

リソースの需要と供給を合致させるということは一見理想的に聞こえるかもしれませんが、この戦略にも考慮すべきポイントを含んでいます。まず第一に需要を常に測定するということは、リソースを大量消費するプロセスを必要とする場合があります。また、測定には仮説を立てることが必要になります。この仮説は、時間が経過するにつれ改善されより正確になっていく場合もありますが、後になってそこまで重要ではなかったことがわかる可能性もあります。さらに、リソースが常に変動している状況下では長期的な計画や戦略を立てること自体を困難にする場合もあるのです。

考慮すべき点には移行コストも含まれます。フリーランサー、フルタイム従業員の起用にかかわらず人材の採用とオンボーディングには時間がかかります。また、人材が解雇された場合(またはプロジェクト内に要対応案件がない場合)再度同様のリソースが必要となった際に、対応が可能なリソースを補充することが難しくなります。さらに、企業は新しいリソースを最短で利用可能にするための対応時間の予測を行う必要もあります。

以上のことからこの戦略は高度なリソースの計算及びプランニング能力を持つ企業に最適といえます。また、この戦略を活用する場合、(リード戦略でみられるような)キャパシティの即時確保や、(時間差戦略でみられるような)全体的なリソースコスト削減のためにリソースの必要量をバランスよく見積もる等の二律背反の意思を持つことも必要です。

 

最適化戦略

最適化戦略とは、需要にしっかり対応し、完全リアルタイムでの対応が不要なためキャパシティ管理の中で最も一般的に使用されるアプローチです。企業は特定の時間枠やプロジェクトに対しては時間差戦略アプローチを採用し、他のタイムフレーム又はプロジェクトにはリード戦略を採用します。利用可能なリソース及び予算制約バランスをしっかりとる必要がある時期にもぴったりな方法であると言えます。

また、マッチング戦略では現在及び近い将来の需要を常に計算することに注力しますが、この方法はそれほど頻繁な対応は不要です。この戦略のスケジュールは、四半期・月・場合によっては週ごとに立てます。繰り返しになりますが、この戦略で重要なのは企業が、特定の業界における遅行指標と先行指標を考慮し、必要な戦略をしっかりと活用しようとすることです。

最適化戦略は、キャパシティ管理に対して最もバランスの取れたアプローチと考えることができます。しかしながら、中途半端であるともいえます。また、リソースの調達に関し、保守的でも積極的でもなくすすめることで、上記の戦略のいずれかを選択活用した場合と比較して機会費用が生じる場合もあります。

一方で最適化戦略は、他の戦略のようなレベルの労力を必要とせず、状況に応じて対応性と反応性を両方兼ね備えているという強みを持っています。

 

 

なぜ、キャパシティ管理が重要なのか?

キャパシティ管理は、企業が生産性を高めるためのキャパシティと、その生産性に対する要求を考慮したうえでの慎重な意思決定を行うため重要です。最終的な目標は、顧客と利害関係者の価値を生み出すリソースを確保することです。同時に企業は、人員過剰に対する許容応力、予算制約、急な需要に対する対応力を持たないことに伴うリスク回避及びこれらがどう影響をしていくか等の目標を同時に調整していく必要があります。更には、これらすべてが長期的なビジョン、目標、ミッションにどうかかわってくるかを明確化する必要もあります。

これらのことを踏まえて行われる意思決定は、様々なリスクに対する許容度を含め、企業の優先順位を反映することもになります。尚、企業は戦略的目標に基づき上記に記した何らかの戦略方法でキャパシティ管理を行うことができます。

更にキャパシティ管理は、サーバーの停止、バグ、その他の予定外作業に対する課題を管理しながら、プロジェクト完了のための利用可能エンジニアの人数等の企業として考えて当然な事柄に時間を割くことをやめさせることにもつながります。時間の経過とともに企業は、利用可能または必要なリソース、割り当ての決定が作業の質や従業員の燃え尽き症候群に、更には予算超過などに対してどのように影響するかをうまく図れるようになります。多くの場合これらの要因は、企業のキャパシティー管理のベストプラクティスの一部になるだけではなく、戦略的計画の中にも盛り込まれるようになります。

 

キャパシティ管理のメリット

キャパシティ管理がはじめての場合でも500回目の場合でも、実際に実践することで下記のようなメリットが得られます。

従業員のリミットやキャパシティを理解できる

従業員が実行可能な作業、タイムライン、品質低下が起こる前にどの程度のことを要求できるかなどのリミットを仮定することができます。実際にThe Motley Foolは、プロジェクトが失敗するもっとも一般的な理由の一つに「リソース計画の不備」を挙げています。

トレーニングやスキルアップが必要な分野がわかる

キャパシティ管理を導入するにあたって企業は、従業員についてだけではなく、生産性を向上させる方法や理由についてより慎重的に考慮する必要があります。場合によっては、従業員が期待通りの生産性を発揮できる準備を行うため、採用やオンボーディングのプロセス周りを変更する必要があるかもしれません。また、トレーニングやスキルアップのためのリソースの確保、会話やディスカッションを通じて要件をより深く理解する必要がある場合もあります。

予算の編成とその管理を行うことができる

予算が現実性を反映していない場合、何かしらの悪影響を及ぼす可能性があります。予算は目標達成または、プロジェクトの完了に必要な全リソースを完全に割り当てる必要があります。しかし、予算を甘く見積もってしまい、チームリーダーや従業員は不十分なリソースでやりくりをさせられるケースが多くあります。プロジェクトのタイムラインを崩すさずに、人件費節約のためにプロジェクトにかかわる人員をカットすると、膨大な残業が発生する可能性があります。これは、多くのエンジニアにとって「窮地」ともいわれる状態なのです。

一方で、必要リソースを過大見積もりし、過剰に予算配分を行うと生産性の低下や、何もタスクがない状態でオンボーディングに参加した従業員のエンゲージメントも低下します。更に予算の余剰はイノベーション、継続的サービス改善や、従業員給与に関しての競争力の強化など、他の場所に割り振れたリソースの機会を損失する可能性を生みます。

キャパシティ管理について全体としていえることは、企業のリーダーは、プロジェクトの実行に必要なリソースを把握し、必要な予算をより現実的かつ正確に予測する必要があるということです。

バーンアウト(燃え尽き症候群)を最小限に抑えることができる

目標達成のために必要なリソースを予測できないことは、人員不足にも直接つながってきます。人員不足であるチームの大部分は、手持ちのもので間に合わせるように求められているのです。これは、与えられた僅かなリソースを成果に変えるだけのために、従業員に「危機的課題」や、過剰な負担を強いる原因の一つにもなってしまいます。
また、燃え尽き症候群は、明確な説明がないまま物事がうまくいかない場合(課題が発生し続けてしまい申し訳ございませんが、現在人員不足により対応し兼ねます。)や、従業員があまりにも多くの役割や責任を負っている場合に現れます。キャパシティ管理では、その役割の一部として、各従業員の能力を把握し尊重することが必要です。どんなに才能があっても、時間とエネルギーは有限であり、浪費し続ければワークエンゲージメントの低下はもちろん、健康や生活の質へも直接的に影響をもたらす可能性があるのです。

採用が必要なタイミングを知ることができる

時間差、リード、マッチングまたは、最適化戦略のいずれかを使用する場合でもキャパシティ管理は、生産サイクルにリソースを「投資」するタイミングを明確にするサインを作成することによって、リーン生産方式をお手本にします。キャパシティ管理のポイントは、目標達成のために十分なリソース(従業員など)をしっかり準備することです。これは多くの企業にとって、価値創造実現のために十分な人材を確保することを意味しています。

データに基づいた意思決定ができる

この記事では「仮定」という言葉がかなり出てきますが、これにはきちんとした理由があります。残念ながら私たちは、時間の見積もりを行うことを苦手としています。また、何かをするのにかかる時間を非現実的に予測し、結果実際に費やした時間は正確に記憶していないことが多いのです。
予測に基づいた意思決定を行うためには、実際のデータが必要です。データがあれば、「数人程度必要」から「最低でも5人は必要」へのように具体的な数字で判断できます。更に、時間の経過とともに見積もりの精度を高めていくことも可能です。
ここで最も重要なポイントは、データにミスがあったり、予測が不正確であった場合、または物事が非常に成功した場合も、記録としてデータを振り返ることができるという点です。
データは、あるプロジェクトがうまく言った理由はもちろん、時間や予算を超過した理由、失敗してしまった理由を参照する際に使用することができます。そしてこれらのフィードバックは、企業の意思決定の改善や、長期的に安定した計画を立てることに対してプラスに作用するのです。

 

 

キャパシティ管理のベストプラクティスとは?

実は、キャパシティ管理に取り組む「最良の」方法は、企業目標・戦略および価値すべてに頼ることなのです。とは言っても、より良いそしてより一貫性のある結果へ達成するためには、より有効性の高いキャパシティ管理を行うことが重要です。下記に、キャパシティ管理において一般的で有効性が高い推奨事項を紹介します。

 

過去データを使用しリソースキャパシティを計測する

チームのタイムログのデータを使用することで、現在のリソースキャパシティをより正確に計ることができます。前後関係によって数値が示すニュアンスが変わることには注意をしましょう。ある特定のチームは特定のタスクをこなしている時よりも、時間当たりの生産性が高い場合があります。また、四半期の初めや金曜日は生産性が低い等、タイミングによって生産性の変動がみられる場合もあります。

これらの数値を使用し、稼働可能範囲での生産性を把握したのち見積もりへ反映させます。例えば、「高・中・低」の数値で生産性を決定したり、単純に全データを平均化し時間当たりの生産性を決定しましょう。この生産性のレートにより現在のキャパシティを理解し、今後の需要に対応するために必要な変化の予測を行うことができるのです。

 

過去の実績に基づき、リソース要件を設定する

上記と同様に、プロジェクトを完了するまでにかかる合計時間(及び、必要なキャパシティ)を最も正確に把握するには、過去のデータを確認することが重要です。また、ボトルネックや担当者の急な欠勤、特定タスクに予想以上の時間がかかることなどの課題を想定した上で余裕を持たせることも検討が必要です。

 

プロジェクトの優先順位を決め、リソースを割り当てる

キャパシティは空の状態では決まりません!つまり、リソースを1つのプロジェクトやタスクに割り当てると、その分他の可能性からその時間や才能がなくなることになります。そのため、キャパシティ管理では、企業戦略目標を達成するため、最適なリソースを割り当てる場所を決める必要があります。ですが、最終的にはすべての目標は顧客と利害関係者に価値を生み出すことであることには変わりはありません。
しっかりこれらの領域に関する理解や指標(顧客調査・収益報告等)を使用して全体的にキャパシティを圧迫しない最適なプロジェクトを決めましょう。

 

トレーニングやプロジェクト立ち上げのための時間を確保する

プロジェクトが軌道に乗る前に、全員がプロジェクトのスピードを把握できる時間を常に確保しておきましょう。この原則は、新入社員、ベテラン社員にかかわらずどちらにも適用されます。また、所要時間に差異があったとしてもゼロになることはないのです!
更に、多くのプロジェクトではリーダーやチーム全体が集まってスコープ定義や要件確認を行い、承認を得てから最終的にプロジェクトタスクに着手するための時間が必要になります。この準備は、キャパシティ管理に組み込まれていない場合も、ほぼ全ての企業に必要なプロセスです。また、準備が不足してしまうと、スコープクリープや計画外の手戻りの発生、チーム間でのミスアライメント等キャパシティはもちろん、生産性や作業の可用性に慢性的に影響し課題を生んでしまう可能性があります。

 

 

キャパシティ計画とは、従業員と組織の戦略的ビジョンを尊重しながら、現実的な決断を下すことである

ボーイスカウトのモットーは「常に備えておく」ですが、現代企業内でよく出回っているフレーズの一つは「測定不可能なものは管理ができない」です。この2つを組み合わせると、すべての企業のプロジェクトや目標は、明確なデータを手元において現実的にアプローチすることが教訓になり、これがまさにキャパシティ管理であると言えます。

キャパシティ管理は、プロアクティブ(事前)でもリアクティブ(事後)でも対応させることができることが重要です。
プロアクティブにキャパシティ管理を行うことで、PMやその他リーダーは入念な準備を行うことができます。そうすることで、プロジェクトの成功に必要なリソースを確保はもちろん、ひっ迫する課題も回避することができます。一方リアクティブなキャパシティ管理では、各プロジェクトに割り当てられたリソースに対してのデータ証跡や履歴の作成が行えます。そのため企業のリーダーはプロジェクトの成功・不成功にかかわらず、チームの能力や必要な人材、作業完了に必要な時間の把握を行うことができるのです。

従業員のタイムトラッキング、生産性ベンチマークの作成及び、リリースプランやキャパシティ管理を始める場合は、データサイエンティストの考えを盛り込んだTempoを使用する他ないのではないでしょうか。Tempo TimesheetsTempo Plannerはタイムトラッキングを容易にし、チームの生産性やリソース要件、時間ベースでの予算編成に関しての正確なレポートを作成します。これらの情報を得ることや、新機能の追加によって得られるデータにより今後のプロジェクトにおいてもよりスマートにより正確にキャパシティを把握することできます。

 

 

最後に

企業戦略に応じておこなうべきキャパシティ管理の方法は異なかもしれませんが、リソースは変わらず「有限」です。キャパシティーをしっかり管理し、利用可能なリソースを把握することは、リソースの無駄遣いや適切なリソース配分を行う際の大きな指標になります。
上記に挙げたキャパシティ管理戦略方法をもとに今一度、企業全体または、チームや部署のキャパシティを整理し管理してみましょう。

キャパシティ管理やリソース管理に特化したTempo製品の詳細に関してはこちら、質問等は右下のチャットボタンよりお問い合わせください。