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ジョブ型の盲点|がっきーの海外インターン体験記①

私事ですが、筆者は10月末にSAFe®︎ Agilistの資格を取得しました。弊社に入社した当初からonboardingでリーンやアジャイル、働き方の改善について学んできましたが、SAFe®︎の資格取得勉強をすることにより、さらに具体的なベストプラクティスの導入の仕方などを学ぶことができました。

それとほぼ同時期に私はオランダの中小企業(ベンチャービルダーといい、自身もベンチャー企業でありながら、同時多発的にベンチャー企業を作り出す会社)でインターンとして働き始めました。ベンチャー企業だからこそリーンになるために力を入れていると入社当日にオフィスマネージャーから聞いていたのにもかかわらず、入社二日、onboarding中にメールで行われていた週次報告を自動化するためのSlackのチャンネルを自ら立ち上げてしまうほどのペイン(ここでは、企業での課題点を身に染みて感じるという意味)を感じることになりました。弊社のSlackの製品紹介ページを担当した私としてはいてもたってもいられなかったのです。そこでせっかくならば現在進行形で感じているこのペインから組織を改善する方法を考えてみようではないかということで、弊社内でも#稲垣のペイン というチャンネルを立ち上げ、このブログシリーズが始まる運びとなりました。今回は第一弾として、ジョブ型の働き方についてお話しします。

 

目次

  1. 私の身に起こった「形骸化したジョブ型」の悲劇

  2. そもそもジョブ型の働き方とは

  3. ジョブ型を導入するにあたって

 

 

私の身に起こった「形骸化したジョブ型」の悲劇

インターンにも求められるオーバーワーク

「あ、今夜これできるよね、やっといて。」

10月末ごろに私のトレーナーに言われていまだに衝撃な言葉です。

dodaキャンパスによると、日本の有給インターンシップの給与は一般的に日給6,000円~10,000円程度と言われています。一方オランダでの有給インターンシップは固定給で、月300-500ユーロ(約125-135円/、37,500-67,500円/月)が相場です。それを知っているはずなのに時給数百円で残業代が出ない私に「残業して」と軽々放つとは、かなりの衝撃でした。幸いなことに私はEU出身ではないので週に最大32時間しか働けないという法律により残業は免れたのですが、他のEU出身のインターン生が断れていないかもしれないことを思うと、さらにゾッとしました。

仕事が終われば帰宅していいはずが、仕事がある限り働き続けなければならないというシステムにシフトしてしまっていましたそのインターン先でのonboardingでは、「弊社はジョブ型である」と説明を受けたのですが、ジョブ型と言われる職場でもこういったことが起こり得るのです。

 

 

そもそもジョブ型の働き方とは

ジョブ型とメンバーシップ型の違い

リモートワークが盛んになってからよく耳にするようになった、ジョブ型とメンバーシップ型という言葉ですが、実際にそれはどういうものなのかを解説します。

メンバーシップ型の働き方は、典型的な日本での働き方で、人に対して仕事を渡します。人に仕事を割り振るので様々な経験を積むことができるものの、特定の業務のために働いているわけではないので、目的がないままタスクをこなすことになります。したがって、会社に通う、パソコンの前に座っている、ということに対して賃金が発生することになります。

対してジョブ型の働き方は海外的で、仕事に対して人材を割り当てます。職務や勤務地、就業時間が明確に定められているものの、パフォーマンスが出ないと解雇されやすい傾向にあります。

なぜリモートワークで話題に?

リモートで働く機会が増えた現在、以前よりも「そこにいるかどうか」の判断が難しくなりました。NHKによると一部の企業では働き方を可視化する名目で一秒単位で着席、離席を管理し、ランダムで上司にその画面が表示されるシステムが導入されているようですが、これでは部下と上司の間で信頼関係を築けませんし、上司の仕事を無駄に増やすことになります。

したがって成果で仕事を評価するジョブ型への移行が推奨されています。

 

 

ジョブ型を導入するにあたって

時間に囚われた工数管理の問題点

私のインターン先が形骸化したジョブ型であると言える理由の一つに「時間で工数を管理するから」という点があります。「週〇〇時間」という契約に縛られ、それにしたがって毎週一時間チームで自分のワークロードを話し合います。しかしそのプロジェクトのどんなタスクにいかほどの時間を使うかということがわからない上に、プロジェクトに振られた時間は完全に推測です。Jiraのサブタスクのように業務を分解するという習慣がないため、実際にどれほどのタスクがその「△△プロジェクト、○時間」として管理されているのかが全く見えないのです。個人の裁量で時間を振り分けると、客観的な仕事量が見えなくなります。したがって、「1時間」という枠内で終わらせた仕事量が変わり、公平な評価ができなくなります。


評価の基準を時間から成果へ

上記にもある通り、「時間」のみにとらわれて工数管理や評価基準を作ってしまうと、作業効率の良い人の方が稼げない仕組みになってしまいます。そこで、成果ベースでの評価基準を作ることが必須になります。例えば弊社では「この資格を取ると資格手当が月額〇〇円」「このような記事を書くと〇〇円」というインセンティブ制度があります。このような基準を作ることにより、会社のために頑張っている人が可視化され、評価され、それが目に見える形で返ってきます。弊社もまだ完全にはジョブ型になりきれていませんが、このような制度を導入することにより徐々にジョブ型の制度を整備しています。また、成果が評価基準になると従業員のモチベーションも上がるので、企業全体に利益をもたらします。それゆえに成果を評価基準にすることはジョブ型を導入する上で必須となるのです。

いくらでも仕事を振って良いわけではない

形骸化したジョブ型の職場で私は実際に無給での時間外労働を強いられそうになったわけですが、ジョブ型だからと言っていくらでも仕事を振って良いわけではないということに留意しなければなりません。メンバーシップ型では定時があるので仕事を切り上げる目安が見えやすいですが、ジョブ型では仕事がある限りタスクが降ってくる可能性があります。ジョブ型を導入するためには従業員の負担を可視化し、誰がタスクを引き取るべきかを客観的に見ることが必要なのです。の解決策として例えば、Jiraを正しく使うことで粒度の揃ったチケットにより従業員の負担が可視化され、さらにTempoと組み合わせると自動で工数管理をすることができます。詳しくはこちらをご一読ください。

 

 

まとめ

今回は海外でインターンをする中で見つけたジョブ型の盲点を紹介してみました。これから日本にもジョブ型の働き方はどんどん浸透していく流れがあるので、同じ失敗を繰り返さないためにも、ぜひ管理職の皆様には「時間に囚われない」「評価は成果を基準にする」「仕事はいくらでも振っていいわけではない」ということを念頭に置いてジョブ型への働き方に移行していただければなと思います。

加えて、ジョブ型に移行する上で企業全体として施行すべきことは、インセンティブなどのジョブ型支援制度やそのためのルールの制定と、公平な評価のために個人の業務負担の透明性を上げることだとわかりました。次回は、その透明性を上げるにはどうしたら良いか、そしてその際の工数管理の重要性についてお話しします。


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