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ドイツにも産休・子供手当ってあるの?【INNOOV海外部】

今回は、少しセンシティブ且つマニアックな内容かもしれませんが、ドイツでの妊娠発覚から出産前までのいろいろについて紹介をしたいと思います。その理由は、筆者である私自身がドイツで初めての妊娠と出産を控えているから。

そんな中ドイツは、日本よりも産休休暇や育児手当て、出産前後のケアが充実していると友人の間でよく聞いたもののマタニティライフを過ごす中で、情報がやっぱり手に入りづらかったり、日本で聞いていた話と少し違うこともたくさんありました。

そこで今回は、妊娠発覚~出産前の今までの病院選びや子育て支援への申請等の様子をまとめたものを紹介したいと思います。

 

目次

  1. 妊娠が発覚したら?

  2. 妊娠検診のいろいろ

  3. 出産休暇・育児手当等の申請(準備)で必要なことは?

 

 

 

妊娠が発覚したら?

妊娠検査薬の結果が陽性とでたら

まず自身が妊娠したのかどうかの確認は、日本もドイツと同様に妊娠検査薬でセルフチェックで陽性と出たのち、産婦人科で見てもらうのが一般化しつつある方法かなと思います。ちなみに妊娠検査薬は、尿の中のhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンを感知すると、反応する仕組みになっているようですが、ドイツでは早期妊娠検査薬(Schwangerschaftsfrühtest/写真参考)が日本よりも種類が豊富に販売されており、(妊娠検査薬では次の生理予定日の1週間~1週間半後の使用が一般的)、生理予定日4日前などから確認ができます。※早期妊娠検査薬も妊娠検査薬と同様100%確定診断ができるものではありません。

ge1早期妊娠検査薬

しかしここで問題が…

私の住んでいるベルリンはなかなか思うように病院の予約が取れないんです。なのに基本的に予約必須なんです…うぅ

また、ドイツでは私的/公的保険によっても予約できる・出来ないがあります。もちろん、全額負担であっても見てもらいたい場合は気にしなくても良いのですが、診察料等を考えるとそうもいかないのが現状です。特に公的保険加入者の場合、ネットで予約しようとすると最短予約可能日は3か月後…は、日常茶飯事。本当、どうなってんの?とたまにイライラします。(緊急事態の場合は除く)

そんな時は思い切って電話をすると案外近日中で予約をとってくれたりもしますが、私のようなドイツ語不得意者にとっての電話は最終手段なので出来ればネットで予約がいい…というのが本音(笑)

ちなみにドイツは、紹介状がない一見さんお断りな産婦人科もたくさんあるようです。これには、日本と違い15歳ころから保険適用内で、低用量ピルを飲むことが一般的化しているということも関係しているのかな?なんて思います。

なにがともあれ、予約を何とかねじ込めたら病院に行くのみ!なんですが、日本と違い妊娠7週目以降に予約を取って病院に行くのが一般的だとか。そのため検査薬で陽性!とでてもすぐには予約を取ってくれないようです。

そんな私は、元々産婦人科でレディースチェックでもうけようかなと思っていたこともあり4か月前よりたまたま予約していた病院に妊娠5週の時に知らん顔で行きましたが、「何かはありそうだけど、まだ小さすぎるので妊娠したとは確定できないからまた9週くらいにきて」と追い返されました(笑)

レディースチェックも受けられず、次は1か月後??!と内心思うとともに、日本のように5週くらいで心拍まで確認できるものと勝手に思っていたこともあり、カルチャーショックを久しぶりに受けた瞬間でした。

ドイツ版の母子手帳?

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日本とドイツの母子手帳

そして1か月後の妊娠9週に無事妊娠が確認され私も公式に?妊婦さんの仲間入りか!なんて思っていたのですが、ここでもちょっとしたカルチャーショックがありました(笑)

それは、ドイツ版の母子手帳は大体妊娠12週くらいでやっと母子手帳がもらえるため9週の私はまだもらえる資格がなかったということ。ということで「え?私日本に一時帰国してドイツに戻ってくる頃には妊娠12週なんて過ぎてるのに…」となんかもやもやした気持ちで帰宅しました:weary:

ちなみにドイツでは通っている産婦人科での交付が基本なところも日本と違うポイントかなと思います。

尚、日本の母子手帳は地域差があるようですが、海外在住の私のような妊婦でも役所で頂けるようです。そのため私は、一時帰国した際に「母子手帳」のみを実家のある地域の区役所でGetしてきました。もし、日本の母子手帳がほしい!と思っている妊婦さんで日本に一時帰国するタイミングがあるようであれば、滞在先の役所に連絡してみてはいかがでしょうか? その際は、妊娠したことがわかる書類やエコー写真が必要になりますのでお忘れなく!

 

気になる母子手帳の中身を比較

そして母子手帳の内容ですが、ドイツ版は日本版と違い母親の記入欄は一切ありません。名前も先生か受付の方が記入します。また、予防接種の情報は以前コロナワクチン接種の時にも紹介をした黄色のワクチンパスで管理するため予防接種の内容を記載する欄もなく、その他。成長曲線やうんちの色の表などもなのため、どちらかというと病院の先生用の記録帳テイストなのがドイツ版です。(いたってシンプル)

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ドイツ版母子手帳の中身一部


尚、大きさは日本のものより一回り程大きいのが特徴で、当たり前ながらオールドイツ語です。(ちなみに日本でも英語版は日本語版よりも一回り大きいらしく、恐らく同じくらいの大きさであると思います。)

ちなみに私はオールドイツ語なので何がどこに書いてあるのかパッと見わからなかったので、母子手帳を貰った後すぐに見やすいように付箋に日本語訳を書き込みました(笑)医療用の専門ドイツ語はやっぱり難しい…

 

 

妊娠検診のいろいろ

妊娠検診の内容は?

妊娠検診の内容はそこまで日本とドイツでは変わらない…基本診察は万国共通と帰国時の先生はおっしゃっていましたが、少し違う部分もあったので簡単に紹介します。

  • 血液検査(血液型+Rh因子、免疫検査、ヘモグロビン値、クラミジア/風疹/梅毒/HIV/B型肝炎の検査)

日本と調べる項目は変わらないような気もしますが、ドイツでも血液検査があります。私は9週の時に血液検査を行い、そのまま日本に一時帰国という流れをとったので先生からは「何か異常が見つかれば即効で電話するわよ!」と言われました笑 (ちなみに電話はなし:slight_smile: )

  • 尿検査

まずドイツの妊婦検診は4週に一回ずつ、体重測定や尿検査などを行います。受付窓口でカップに名前を書いてもらい渡されるのですが、私のクリニックは採尿したカップはそのままトイレにある棚におきっぱにします。とってもオープンで日本とは違いすぐに看護士さんが取りに来るわけではないため他の方の採尿済みカップも普通においてあります。(とてもカルチャーショックでした…笑)

  • エコー検査(Ultraschallscreening)

エコー検査は医者によって毎回の場合と数回しか無料で受けられない場合があるのだとか。加入している保険やハイリスク出産、医者の方針等理由はあるようですが、病院によって無料/有料になるのはちょっと厄介だなぁと思ってしまいました。幸いにも、私の通っている産婦人科は、陽性反応を確認するためのエコーは有料(約40€)以外は、基本的には毎回エコーを無料でしてくれるので助かっています。(知り合いには初回の陽性判定を除いた前中後期のエコー検査は3回以外は実費(約30€)だったという方も…)

ちなみに法で定められている基本的な超音波エコー検査は3回、妊娠週の10週目、20週目、30週目らしい…

Die drei gesetzlich vorgesehenen Basis-Ultraschalluntersuchungen, auch Sonografie genannt, finden um die 10., die 20. und die 30. Schwangerschaftswoche statt.(詳細

尚、エコーの写真は数年後には真っ白になってしまうということで私は携帯のカメラで写真を撮って保管してます♪

  • 幼児チェック4Dエコー検査(Pränataldiagnostik)

4Dエコー検査は紹介状を貰い専門の産婦人科に行くように言われることが多いようです。大体妊娠20週から25週の間にチェックしに行くように通っている産婦人科で言われます。私も妊娠23週の時に行ってきましたが、予約していた時間になんと先生がお昼に行くという珍事件があり2時間も待ちました…(ドイツでは結構日常茶飯事) 

検査では、胎盤の位置から赤ちゃんの指の数、心臓の動きや脳・背骨・脚の形や長さまで隅々にわたって確認されました。「診断結果は異状なし」とのことでしたが、希望をすれば診断結果の詳細のコピーやエコー写真を頂けるとのことだったのでありがたく頂戴することに♪

診断結果はもちろん全部ドイツ語なので、自宅で日本語と英語にさっそく翻訳し、日本語版の母子手帳にはさんでいます。

  • 経口ブドウ糖負荷テスト(シュガーテスト)

こちらも妊娠20週から23週くらいまでに行う検査で、妊娠高血圧症候群の有無を調べるテストです。日本でも同様と思いますが、すごい甘いシロップを飲まされ、2時間は病院にいないといけない過酷なテストです…笑

また当日は研修医の方が採血を行ってくれたのですが、なんせ失敗する…無駄にぶすぶす刺され疑心暗鬼になるという…(見かねたベテランの方が途中から始動に当たってくれたのが不幸中の幸い?でした)

ひっかかると再検査、食事に気をさらに付けないといけないということでしたが、「結果は問題なし」ホッと一安心です。

  • その他

私はまだ受けていませんが

  • CTG検査(妊娠30週から)

  • GBS検査(妊娠35週時)

があるようです。また、その他にも産前産後のケアをしてくれる専属の助産師さん(ヘバメさん)の手配や、分娩院でのバースプラン作成ミーティング(出産前約1か月前くらい)があます。尚、ヘバメさんは争奪戦なので妊娠が分かった時点で自分の予定日と住んでいるエリアで対応可能な方をいち早く探す必要があります…費用は保険適用内ですが、探すのに相当苦労するようです…(私はラッキーだったのか何の苦労もせずすぐ英語話者のヘバメさんと出会えましたが…稀らしい:rolling_eyes: )

お産方法は、ドイツではPDA(無痛分娩)がポピュラーのようですが、他にも吸引/水中/帝王切開等などの方法もあります。尚、病院によって希望している方法でのお産ができない場合ももちろんあるのでリサーチ・予約が必要です。(この予約、ベルリンでは約1か月前でOKのようですが、ミュンヘンでは妊娠9週くらいで予約を取る必要があるのだとか…エリアによっても対応が異なるので注意が必要です…)

日本一時帰国の際のエピソード

妊娠発覚前からすでに一時帰国の計画を立て、チケットをとり準備していたこともあり妊娠初期の段階での長時間フライトを要する日本帰国でしたが、フライト中は特に問題もなく快適に過ごせてました。念のためにフライト許可の書類を産婦人科で発行していただきましたが、妊娠後期でない限りあまり神経質にならなくても大丈夫とのこと。ただ、フライト中は頻繁にトイレに立ってみたり座ってできるストレッチを頻繁に行うなどのケアをして過ごした方が良いとのことだったので実践はしてました♪

また、先ほど日本に一時帰国した際に日本版の母子手帳を貰った話をしましたが、日本版は母親記入欄があり、その時の気持ちや思いを書き込めるのでマタニティライフを楽しく過ごすための工夫がされているのだと感じました。私自身も今でも時々開いては初胎動を感じた日や、体調の変化をメモしながら自分なりに活用させてもらっています。 とはいっても、実は英語版が欲しいと思っていたのに手違い?で日本語版しかもらってこれなかったので、次回日本帰国時に英語版は貰えるのか交渉してみようかなと考え中です…

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また、マタニティマーク。これは優しい取り組みだなぁと改めて感じました。航空会社のカウンターや電車の駅の案内所などでも無料でもらえるということで、ドキドキしながら貰ったことはいい思い出です。実際付けてみて何人かの方に席を譲ってもらい日本は優しさに包まれているなと感じました…

尚、このマタニティーマークは賛否両論あるみたいですが、日本と同じデザインで海外でも配っている国もあるようです。ドイツにはまだないですが、こういった優しい取り組みはぜひ広がってほしい!!

そして最後に、日本帰国時の妊娠検診についてですが、海外在住者は日本在住の妊娠さんと異なり妊娠検診のクーポンは貰えないため検診はすべて実費です。血液検査やその他の検診を行うと診察料がとっても高額になります。そのため私は日本滞在期間中はエコー検査と問診のみを受けていたので、診察料はそんなに高額ではありませんでした。が!!!毎回支払いを忘れそうになるという…珍ハプニングを起こすという。ドイツでは基本診察料を払うことはないので忘れちゃうんですよね…その国の普通になれるって怖い!(笑)

 

 

出産休暇・育児手当等の申請(準備)で必要なことは?

 日本でも出産休暇(以下、産休)や、育児休暇(以下、育休)をより取りやすくするための制度や職場の雰囲気づくりが注目されつつあるかと思いますが、ここドイツでは日本よりもそれらを取得しやすいのではないかなと個人的に感じました。

産休を取りたい場合

まず、産休を取得する場合について紹介します。

ドイツで産休を取得したい場合はまず通っている産婦人科で産休を取るための妊娠証明書を取得する必要があります。大体20週をすぎたころに先生から証明書は必要?と聞かれるかと思いますので、欲しい意志を伝えるとすぐに発行してくれます。これは、私が日本へ一時帰国の際に長時間フライト許可の証明書を貰った時と同じでその場ですぐもらえるものでした。この証明書を受け取ったらドイツの産休時の一時支援金制度を利用するために職場と自分の保険会社の2か所に証明書を提出します。尚ドイツでは、

「産休期間(全14週間、産前6週間-産後8週間)は1日13€が保険会社から支払われる(月額最大390€)

また産休取得前の3か月の間の給与が390€を超える場合は超過分を勤め先が負担する」

という決まり(義務)なため、働くプレママさんは必ず証明書の提出が必要です。そして、すべての確認が済むと口座にお金が振り込まれるようになるみたいです!

育児手当の申請は?

では、次は育児手当について紹介したいと思います。

ドイツでは、よくパパ同士がベビーカーを引いて散歩している様子や、子供のお世話のために時短勤務をしている方を見かけていたので、日本よりも男性が子育てに積極的にかかわっているなという印象が個人的に強かったのですが、実際の育休受給率も高水準を保っているようです。

そのきっかけが、育休中の給付金制度「両親手当」で、内容を簡単に説明すると、

  • 子どもが生まれてから、最長36ヶ月取得可能

  • 元職場の保証あり(この期間の解雇は不当なためできない)

  • 父親・母親同時の取得も可能で給料の67%が支給。

  • 両親両方が休暇を取得した場合14ヶ月が支給。

この制度のおかげで2019年は男性の「育休」受給率が過去最高の43.5%と、制度がなかった2006年の3.3%と比較してみると大幅に伸びています。

参考:男性の「育休」受給率、過去最高の43.5%(ドイツ:2022年8月)|労働政策研究・研修機構(JILPT) 

外国のパパは育児休暇取得率が高い!日本と何が違うの?|子供英語タイムズ|【公式】「ディズニー英語システム」(DWE)|子供・幼児英語教材|ワールド・ファミリー

更に私の住んでいるベルリンでは受給率が46%越と2人に1人に迫る高受給率なようです。もちろん、母親の育休受給時期とずらして父親が育休を取ることも可能なようで、自分たちのキャリアやライフスタイルに合った取得方法ができます。

ちなみに日本は、世界で1位と評価された日本の「育休制度」を持っているのにもかかわらず受給率が2021年で13.97%と低水準…なぜ?

もっと子育てがしやすい環境・雰囲気になったらいいのに!と思う私です。

参考

子育て支援策 新報告書:先進国の育休、保育政策等をランキング-日本は育休1位、保育の質や料金では中位|日本ユニセフ協会|プレスリリース 

 

ドイツには子供手当もある

最後に、産休中や育児手当とは別にドイツには子供手当があります。それは、毎月250€/1人(2023年~)が支給されるというもので、生まれてから18歳まで毎月支給されるようです。これは、ドイツに住んでいる多国籍の家族も対象となるためドイツ語弱者の私はせっせと必要書類を拵えてます(笑)

その他、出産後に必要な申請のための準備は?

まだ出産を終えていないので出来るところまでしか準備はしていないものの出産後はきっと大忙しになるだろうということで子供手当の書類の準備とともにいろいろな書類の準備を始めている私です。

まず、出産後どの国でも共通なのが出生届の提出。ドイツでは生まれてから5日の間に提出すればOKらしく、大きい病院だと役所に行かなくても受付窓口があるのだとか。その窓口に持っていく必要があるのが、わたしのような外国籍夫婦の場合、

  • 両親のパスポートのコピーと滞在許可証

  • 両親の出生証明書

  • 婚姻証明書

  • 名前についての宣言フォーム

が必要みたいです。もちろん、ドイツ語の翻訳したものが必要で、出生証明書なんて証明書がない日本は戸籍謄本を翻訳する必要があるので日本領事館でさっさと準備する必要あり。これは、調べて準備しておかないと5日間で間に合わないので注意が必要だなぁと感じました。

また、日本国籍を取得させたい場合は3か月以内に日本領事館に出生届の提出を行わないと国籍がはく奪されるらしいので、こちらも忘れず時間を見つけて行わねば…そして、続いてパスポートの申請&取得、保育園入園のための書類の準備…やること既に山積状態で恐怖でしかないのですがガッツでどうにかするしかない!!!のでこちらは気が向いたらまたブログにしてみようかななんて思います(笑)

 

まとめ

今回は少しコアな内容+情報量盛りだくさんでしたが、ドイツの妊娠から出産前までの準備について書かせていただきました。私のように初妊娠+初出産が異国の地という方ももう珍しくはない世の中かと思いますが、情報を集めるのがなにせ難しい…ましてやその国の言語が不得意だとなお更情報収集に時間がかかってしまうと思います。私は結構ラッキーな巡り合わせで切り抜けている感がありますが、まだまだ不安なこともあるのも事実です。

そんな自分のためにも「こんなこと聞いてもいいのかな?」なんて思わずどんどん周りに聞くようにして不安を少しでも解消していき、長いようで短い280日のマタニティライフを少しでもストレスフリーに楽しく過ごそうと思います♪