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働きやすい文化をつくるためのコミュニケーションとは?|がっきーの海外インターン体験記③

お久しぶりです、がっきーです。前回の「がっきーの海外インターン体験記」では、タスクの透明性の上昇とコミュニケーションには相関があることをお話ししましたリモートワークが盛んな今、より一層コミュニケーションは一筋縄ではいかなくなってきましたよね。そこで今回は、コロナ禍やリモートワーク環境でもすぐ実践できる、より良いコミュニケーションの取り方に加えて、スムーズにコミュニケーションが取れない場合にはどのようなことが起こりうるのかを実体験を踏まえてお話しします。

 

目次

  1. 傾聴能力が低いと起こりうること

  2. 「忙しい」が引き起こす障壁

  3. スムーズなコミュニケーションを取るためにできること

 

 

傾聴能力が低いと起こりうること

ボトルネックが改善されにくい

コミュニケーション能力は大きく分けて「聴く力」と「話す力」に分かれます。リーダーやマネジャー層の「聴く力」が低いと、ボトルネックの改善がされづらい傾向があります。実際に筆者は海外インターン先でコミュニケーションを行う上でのボトルネックを発見しました。

オフィスマネジャーがイベントの出欠をメールやSlack、Whatsappなどありとあらゆるプラットフォームで出欠確認をとっており、社員約80人の返信先が散り、ばらばらになっていたのです。そこで「Slackのアドオンの投票機能を使えば情報の管理が楽になりますよ」とオフィスマネージャーに提案したところ、無視されました。返事や絵文字のリアクションがないので読んだかどうかがわからずフォローアップがなかなかできないですし、実際にオフィスで会った時に私のメッセージがなかったかのように振る舞われた時はそのことを持ち出していいのかもわからず、結局改善されないままでした。プロセスを変える力を持つマネジメント層の聴く力が欠けていると、現場から改善のための声が上がっても実際に改善されにくいのです。

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実はそのインターン先のCEOは傾聴力があり変化を起こすことが好きだったのですが、彼曰く「年を重ねた社員は変化を嫌う、もしくはやり方がわからないとすぐやめてしまう傾向があるとのことした。50代のオフィスマネジャーには新しい提案をする際にもっと手取り足取り教えればよかったのかな…と後々考えることにもなりました。新しい提案をコンスタントにできるプラットフォームや、誰にそのアイデアを伝えればいいのかが一目でわかる仕組み、それに伴う簡単かつ迅速なミーティング予約のシステムがあればボトルネックは改善しやすくなるのかもしれません。

エンゲージメントやモチベーションの低下

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上記のケースのように声を上げても結局変わらないという経験を重ねると、従業員のモチベーションが下がります。実際に筆者が入社した数ヶ月後には契約切れを除いても10人以上会社を辞めていきました。同時期に入社した人も一ヶ月以内に辞めたり、契約が切れる前に去ったり。特に若者の離職率が高い印象でした。

明確な理由は不明ですが、採用時や職務中のコミュニケーション不足による理想と現実との乖離があったケースは耳にしました。加えて、上記のように不満があっても改善されづらいことから、特にそのボトルネックを改善する力のないポジションにいる二十代の若者にとっては、ボトルネックの解消より職場を変更する方が簡単だと言えます。Böckermanによるメタアナリシスでも仕事への満足度とパフォーマンスの相関関係が見えることから、不満が改善されないことが原因で仕事そのものへのモチベーションが下がり、エンゲージメントが下がることが考えられます。

傾聴されない?実際にあったケース

実際に筆者自身も「聞いてもらえていない」と思うことを多々経験しました。一番印象に残っているのは、基本的に一人で働きたかったであろう私の二番目のインターンコーチです。彼女は自分より立場の高い、もしくは等しい立場の社員に関してはリスペクトが見えたのですが、インターンに対してはそれが欠けているようでした。ある時から彼女はGoogleカレンダーで私の予定が見えているから、といい私との(彼女にとっては優先度の低い)週次ミーティングを平均的に週3回ほどリスケジュールするようになりました。

また、その理由も不明確で、元々のミーティングの時間に彼女がオフィスで雑談している姿から外部とのミーティングや体調不良などが原因ではなかったことが見てとれたことから、インターンとしての自分の存在価値がわからなくなりました。このように自分のタスクに関して中間管理職を含めた管理者層が傾聴する力に欠けると、社員のモチベーションが徐々に下がっていってしまうのです。

 

 

「忙しい」が引き起こす障壁

仕事をアサインできるメンバーが減り、仕事を圧迫

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業務に追われているとつい、忙しいを理由にコミュニケーションを怠ってしまうことがあると思います。しかし、後回しやその場凌ぎにするとそのタスクを自分で負うことになり、結果的に自分で自分の首を絞める結果になってしまいます

例えば、一度でも質問をすると「わからないならもういい」と言ってインターンから仕事を取り上げて自分で仕上げてしまう社員の方がいました。本来私は金融関係の仕事をする前提でインターンとして雇われたはずだったのですが、専門性のないこと(例えば、CRMの企業ページのアイコン設定やGoogle Driveの掃除など)を任されることもありました。このようなことが繰り返され、インターンとしての自分の価値を見失い、自尊心が削られていきました。このように、コミュニケーション不足により、インターンは成長する機会を失い、会社としてはその成長しない、使えないインターンが居座ることにより仕事が圧迫されるという事態に陥ってしまうケースはどのような企業でも起こりうるのではないでしょうか。

「忙しい」を言い訳にしていなかった人の印象

ついつい「忙しい」と言ってコミュニケーションを怠ってしまっていた人がいる一方で、筆者は忙しい中でもそのような対応をしなかった人も発見しました。私の一番目のインターンコーチです。彼は途中で部署異動になったので最後まで私のコーチではなかったのですが、カレンダーを見る限りかなり忙しい彼は私に「忙しい」を言い訳をすることがありませんでした。彼は頻繁にSlackの絵文字を使い、返信もその日の内に返ってくることがほとんどでした。また、彼が心理的安全性について意識的であることが感じられ、いつも自分の感情を出したり意見を言ったり質問をしたりしやすい相手でした。彼がいつも親身になってくれ、返事がなくても「無下に扱われていない」「絶対にリアクションが返ってくる」という信頼があったからこそこの人にもらったタスクはもっと頑張ろう、プラスでできることをしようと思えました。

ここで、彼が実際に「忙しい」と言わないためにしていたことは何かを考えてみました。

まず、タスクの優先順位付けです。当たり前のように聞こえますが、仕事を一緒にする相手がいる場合、「なぜ今自分がこの仕事をしているのか」「なぜ今そのタスクに取りかかれないか、いつならできるか」を明確にする必要があります。彼はいつもそれを明確に伝えていたので、相手はそれに合わせて優先度を適宜アジャストすることができました。加えて彼は、対応できる時に相手とのフォローアップの時間を意識的に15分だけ作る等していました。それにより相手は、特にインターンや新入社員としては自分の仕事に対してのフィードバックが得られるので、成長する機会になったり、自分が会社に貢献できていることを認識できるのです。

 

 

スムーズなコミュニケーションを取るためにできること

簡単なことから始めてみる

以前こちらのブログでも触れた通り、社内連絡網内でアイコン設定をすることが心理的に安全な環境を作り出すきっかけになることが考えられます。加えて、Slackを使っている場合は返事をする代わりに絵文字でリアクションをすることができます。このような簡単なことの積み重ねにより信頼関係の土台が出来上がるので、本当に忙しくて返事ができなかった場合にも不安が残りづらかったり、普段から返事がない人より気軽にフォローアップをすることができます。

なぜなら、わざと無視しているのではないことや、おそらくメッセージが埋もれているであろうという予想ができるからです。普段から返事やリアクションが無いと、「どうせ読んでもらえていないだけだ」と思ったり、フォローアップするにしてもどのような声かけが適切かわからなくなってしまいます。したがって、普段からこまめに小さなコミュニケーションを積むことで、信頼関係の土台を築くことが重要だと言えます。

質問には時間がかかってもいいので応じる

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「わからないならもういい」と言って質問に真摯に答えてもらえないと、インターンや新入社員の立場からは「知らない=悪」という認識になってしまいます。もちろんGoogle検索をして解決するようなことであればある程度突き放しても良いのかもしれません。しかし、質問ができない環境では基本的に成長が見込めません。先述の通り、心理的安全性が土台にあれば質問への返答を待っている間不安に思いにくくなるので、ある程度時間が経ってしまったとしても、彼らの質問と向き合う時間を作ることがベストだと考えられます。

逆に、インターンや新入社員のように会社の環境に慣れていない人を無視してしまうことは一番避けるべきだと言えます。彼らは新しい環境で多かれ少なかれ不安を抱えています。メールやメッセージに限らず、大人として当たり前ではありますが挨拶をすることはコミュニケーションの第一歩です。筆者は実際に海外インターン先でアジャイルになるために改善担当の方に色々提案をしたところ、挨拶を無視されたり、自分だけ無碍に扱われたりといった経験をしました。

管理職を担ったことがある方ならお分かりでしょうが、仕事に対しての意見やフィードバックは「人」に対するものではありません。それはその意見がインターンや新入社員からであっても同じです。彼らの提案は支援であり、より良いプロセスに向けて改善するための意見なのです。日本でも若者が意見を口にすると「生意気だ」と見做され窓際に追い込まれるという風潮がありますよね。そのような風潮は企業の成長を著しく妨げるので、ただちになくなるべきだと筆者は考えま

 

 

最後に

今回が一旦「がっきーの海外インターン体験記」シリーズ最終章でした。

海外インターンの経験はなかなかできることではないですし、SAFe®︎の勉強をしていたおかげで実際に企業で見受けられる事例が見えたのはいい経験だったと思います。しかし、インターンを通してペインをたくさん感じたので、将来就職するなら絶対真の意味でアジャイルに精通したITやFinTechの企業に勤めたいと強く思いました。

これからはIT企業以外にもアジャイルマインドセットがもっと広く知られ、いろいろな人がより働きやすい環境になっていってほしいと思います。


ジョブ型の盲点|がっきーの海外インターン体験記①
公平な評価が伴わない工数管理の実態|がっきーのインターン体験記②