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日常に行き届いたオランダのキャッシュレス事情とは【INNOOV海外部】

昨今は日本でも主にコロナ禍が原因でオンライン化が進んでいます。この一年半程で「オンライン」は飲み会、講義、決済などたくさんの名詞の枕詞になりました。先月、弊社のミーティング中に日本のフィンテックの話になり、比較対象としてオランダの行政や金融機関でできることシェアした際に、日本のオンライン化の進み具合とのギャップを再認識することになりました。そこで、今回はリアルなオランダのオンライン決済事情についてご紹介します

 

目次

  1. アプリひとつでなんでもできる

  2. 負担が少ないキャッシュレス

  3. 行政もオンライン化

 

 

アプリひとつでなんでもできる

iDealが一番人気

ideal-logo-1024 (1)iDealとは2005年に開始されたサービスで、オンライン決済の際にオランダの銀行口座から直接支払いができるというものです。2014年にはオンライン決済の半数以上がiDealで行われ、2016年までに総額10億ユーロ以上が取引されてきました。2021年現在、ネットショッピングでの決済方法選択時にはほぼ必ずiDealがあります。(ないと多分オランダ人は怒り始めます)

なぜこれが人気かというと、1. クレジットカードを持っていない人がとても多いから 2. 毎回のログインの必要がないからだと私は推測しています。

まず一つ目ですが、私の知る限りオランダに居るほとんどの人はクレジットカードを持っていません。主な理由はユーロ圏内なら基本どこへ行っても銀行のキャッシュ(デビット)カードでこと足りるため、わざわざクレジットカードを作るメリットはないからです。私個人は今までにフランス、ベルギー、ドイツに滞在したことがありますが、現金のみ取り扱いの店でない限りはオランダのデビットカードを使えることが多かったです。

二つ目に、オンライン決済の際に煩わしいのはカード番号とCVC(カード裏のセキュリティコード)を入力することや銀行のウェブサイトにログインすることかと思うのですが、iDealを使うとそれらの悩みは無くなります。パソコンでのネットショッピングの際にiDealを選択するとQRコードが表示され、それをスマホで読み取ると銀行のアプリでの決済画面に進みます。スマホの場合は直接銀行のアプリにリダイレクトされます。アプリではFaceIDや指紋認証といった簡単な本人確認のみで決済を完了することができ、それが終わると注文完了画面に切り替わります。毎回ログインしたりカード情報を入力する必要はないので不正利用の心配も少ないです。

 

銀行のアプリのみでできること

オランダでは銀行のアプリを使ってできることが日本のものよりかなり多いと言えます。私も日本に口座を持っているので日本のアプリの使い勝手は存じ上げているのですが、できることといえば残高や利用明細の確認くらいなのではないでしょうか。

オランダの銀行のアプリの機能は多岐に渡ります。まず、割り勘機能です。以下の画像は実際に私が使っている銀行のアプリのスクリーンショットです。

online Netherlands 1

これは私が友人とレストランに行った際の詳細です。ここから割り勘 (Split the amount) オプションを選ぶと何人で割るかが選択でき、支払いリクエストurlを作成することができます。作成したリクエストをLINEやメールなどで送信すると、受信者はオランダのどの銀行からもすぐに支払いができます。

人数で割り勘しない場合でも、以下の写真の通り簡単に金額を指定して支払いリクエストを送ることが可能です。

 

online Netherlands 2

他にも銀行が取り扱っている保険の申し込みがアプリで完結したり、当座預金から普通預金口座への送受金ができたり、普通預金口座は”piggy bank”「ブタの貯金箱」と呼ばれるものに5つまで分裂も可能で、目標金額に向けて貯金することができます。

実際私がオランダに来てからの数年間で銀行へ足を運んだのは銀行開設のための1回で、ATMに行ったのも(ユーロ圏内の)外国へ行くのに現金があった方が安心だろうという理由のみです。

日本でもオランダの決済と似たiD支払いが普及してきていますが、やはり現金が手元になく不安でATMに駆け込むこともまだ多いので、学べる部分も多いのではないかと思います。

 

モバイルデバイスからの支払い

日本のキャッシュカードと一体のデビットカードは、現在まだ登録できる電子マネーやモバイル決済の手段が限られていると思います。カードが登録できる場合でもキャッシュカードとは別でなければならないこともあります。(例えば三井住友銀行の場合、Google PayやPayPayは登録可能ですが、Apple PayやLine Payは登録不可で、もしApple Payを使いたければ別のデビットカードやコンタクトレスクレジットカードの登録が必要)

オランダの銀行の全てのキャッシュカードからはこのようなサービスにアクセスが可能です。実際に私は普段買い物やレストランに行く際にお財布を持たずに出かけることも多いです。忘れた時も慌てて取りに帰った試しはありません。日本でApple Payをキャッシュカードで使える日はいつ来るのだろうかと待ちわびています。

 

負担が少ないキャッシュレス

店側のデビットカード払い手数料が低い

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日本にいる頃は「現金のみの取り扱いです」の方がよく聞きましたが、オランダでは”Hier alleen pinnen”「銀行デビットカード(pin)のみ」の方がよく聞きます。フリーマーケットや出店、キッチンカーのようなところでも、いやむしろそういうところの方がキャッシュレス化が進んでいます。

なぜこんなにキャッシュレスが盛んかというと、オランダの銀行がお店に現金を置かないことで強盗を防ぐという方針を立てているからです。カード払いには店側が手数料を払いますが、オランダはそのデビットカードの手数料がとても低いんです。しかも支払い回数が増えると手数料が下がる仕組みなので、大手スーパーチェーンなどは一回のカード払いにつき手数料が2円ほどのようです。現金を使うコスト(レジに入れておく現金の輸送、現金を守る保険、レジの人件費など)の方がデビットカード設置による手数料より高いので、結果的に現金を使う方がデビットカードを使うより高くつくのです。(参照)

前述の通りクレジットカードを持っているオランダ人は少ない上にお店側の手数料が高い(購入金額の約2.5%)ため、銀行カードのみの取り扱いになることが、特に市街地や観光地ではない田舎の方では多くなります。(参照)

顧客側の負担が実質ゼロ

店側の手数料が少ないのは上記の通りですが、顧客側の負担もクレジットカードを使うより少ないです。まずオランダに住んでいる限り銀行口座の開設は必須ですし、そうなると自ずとキャッシュカードも作成することになります。それがデビットカードとして使えるのであれば、わざわざ余分なカードを作る手間もありませんし、クレジットカードのように年会費や手数料がかかるわけでもありません。

オランダの銀行では学生でない場合には銀行の維持費がかかりますが、いずれにせよ銀行口座は生活していく上で必要なので、追加のコストがかからないという意味では負担はゼロに近いと言えます。

 

行政もオンライン化

行政ログインアプリ「DigiD」

1200x630wa-removebg-preview (1)DigiD、オランダの政府機関がインターネット上でオランダ居住者の身元を確認するためのプラットフォームのことです。オランダ居住者にはBSNという市民番号が個人に割り当てられるのですが、DigiDはその番号や住所、メールアドレスといった個人情報と紐づいています。このアプリがまた便利でたまらないのです。

このアプリを使うにはまずスマホアプリからDigiDにログインする必要がありますが、それ以降は5桁の数字パスワードを使えばどの政府機関のウェブサイトにも瞬時にアクセス可能です。スマホからのアクセスならアプリからウェブサイトにリダイレクトしますし、パソコンからならQRコードをスマホで読み取り、5桁のパスワードを入力するだけでログインできます。さらに、スマホを買い替えた際にも、前のデバイスを新しいものに近付ければ情報を再入力する必要はありません。アプリへのログインはそれで完了できます。

私はこのアプリを使ってログインしたウェブサイトで今まで住所変更の手続きや自動車免許の学科試験の申し込み、コロナの検査やワクチンの申し込みまで文字通り全てをこのアプリを使って完了しました。このオランダに在住した3年間で市役所に行ったことは全くありません。誇張ではなく、ゼロです。

日本でもコロナのワクチンの予約が自治体によってオンラインで行われた場合があったようですが、行政のオンライン化の進み具合とそのクオリティにおいてはオランダにはまだまだ追いついていないように思います。

登記もオンラインで完了?

オランダは起業しやすいと有名な国ですが、なんと登記までオンラインで完結してしまうのです。私も今回調べるまで知らなかったので驚いたのですが、オランダの商工会議所によると、個人事業主とパートナーシップ以外はオンラインのアポイントだけで登記が完了するのです。(参照)

弊社は株式会社なので、もし仮に弊社がオランダ支店を出すことになればオンラインで全ての手続きを完了できるということになります。ちなみに登記費用は現金で支払えないそうです。キャッシュレスがここにも現れていますね。

 

 

まとめ

今回はオランダで私が経験した便利なオンライン決済や個人情報照会のサービスをシェアしました。もちろんオランダと日本では環境や文化も違いますので一概にどちらがいいとは言い切れない部分もあります。特に日本は自然災害大国で停電の可能性がオランダより高いので、キャッシュレス化やオンライン化を進めるにあたっての障害は多いと言えます。しかし、今回私が紹介したサービスの中で比較的容易に真似できる部分もあるはずなので、日本でもより便利にサービスを使えるようになるといいなと思っています。

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